結婚式場の巫女。脇役だけど、衣装が可愛いしラクそうと、軽い気持ちでやってみた。
どんな仕事もそうなのだが、それなりに大変なことがある。
まず、着付け。狭~い更衣室で素早く着替えなくてはならない。
まずは、足袋。これは鉄則。最後に足袋は、はかまや羽織が邪魔で、意外と手間取ってしまう。
最後は、髪。当時はボブだったので、髪を後ろでまとめるのがやっと。
そこへ、長い付け毛をつけて、その上から紫色の布を縛り付ける。
これを、しっかり縛っていないと、落っこちて来てしまう。
式中に落ちたら最後、絶対に拾えない。
なにごともなかったかのように、ひたすら知らんぷりだ。
そして、作法。手首が見えては行けない。
走らないと式の開始に間に合わない場合は上品に走る。
今思えば、上品に走るってどういうこと?!なのだが、一応、気をつけてはいた。
最も気を遣うのが、式中。カメラが入ることもあり、間違いは許されない。
お辞儀はいつ?玉串は、どうやってささげるんだっけ?他人の結婚式なのに、心臓バクバク。
お神酒は神聖なものなので、息がかからないように、
目より高いところに捧げ持たなくてはならないのだが、神主さんによっては、お神酒の量が半端ない。
あまりの重さに、腕がぷるぷるすることもしばしば。
ちょっと傾ければ、お神酒がどばっとでてくるので、大抵こぼしてしまう。
逆にお神酒が少ないと、傾けても傾けてもお神酒が出てこない。
こうなると、ついだ『ふり』だ。
だいたい神前式は身内だけで行うので、参列者の数もしれている(両家で20名くらい)のだが、
一度、ものすごい人数が式場に押し込まれたことが。
椅子に座りきれないので、人が壁際に鈴なり。
親族固めの杯では、お神酒を参列者全員についでまわるのだが、
いつも通りにしていたら、絶対に足りない!! お神酒は式前に用意しておくものなので、つぎ足しは出来ない。
なので、可能な限り、ちょっぴりずつ、つぐ。人が多いので、移動するだけでも大変だ。
人がお神酒が行き渡りますようにと、ハラハラしながらついでいたら、
あろうことか「ねぇちゃん、もっとついでくれや。」と、言われた。
私は、巫女。バイトだけど、神聖な巫女だぞ。
その後、お神酒が無事足りたのかどうかは、さっぱり記憶にない。
よく、結婚式の数だけドラマがあるって聞くけど、それって本当だな~。