勤めていた会社を辞め、次の仕事が始まるまでの間の短期間、ハム工場で働きました。
家にいてダラダラと過ごすのも嫌だったので、何か短期で働けないかと新聞の折込求人紙を見ていたところ、
年末の繁忙期だけの仕事を見つけたのです。
私も当時は中年と呼ばれる年代に入っていましたが、
私のような年齢の男性もパートやアルバイトで来ていて少し心強く感じたものです。
当然のことですが食品工場なので白衣に着替えます。
白衣に着替えることなど学生時代にしたパン工場のアルバイト以来でした。
これから仕事が始まるのだと変な高揚感があったのを憶えています。
配属された現場では毎朝、体操がありました。
体操の後には、忘れてしまいましたが指差し確認の点呼を全員で唱和しました。
現場では年季の入ったパートのおばさんとペアになり、
肉の処理をする作業を担当することになりました。
誰にでも出来る流れ作業です。
牛の血の付いた肉を機械にかける作業だったのですが、肉の冷たさと臭いに最初は戸惑いました。
流れ作業は経験があったのですが時間が経つのが遅く感じ、なんども壁の時計を見たものです。
昼の休憩以外に午前10と午後の3時に休み時間がありました。
その時間が早く来ないかと思いながらの単純作業でした。
作業が終わると使用した機械を塩素を薄めたお湯で、洗浄することになります。
洗浄作業は毎日あります。
そのお湯の温かさが気持ち良かったです。
午後の5時、遅くても6時には退社していました。
ある日、仕事が終わりロッカールームに私服に着替えに行くと、
白衣に着替えている同年代と思われる男性と話す機会がありました。
聞くと昼間は正社員で働いていて夜はこの工場でバイトをしていることが判りました。
世の中にはこういう働き方をしている人もいるのだなと考えさせられました。
アルバイトの最終日は工場で年末の安売りのハムを買い帰宅の途につきました。