私が行った試験監督のアルバイトは三つ、TOEIC、国家公務員試験、国税専門官採用試験だった。
この中で驚いたのは国税専門官採用試験で、前日のミーティングの時に今年の年収や扶養関係の書類を書かされたことだ。
私は何度も担当官書類に書かれている単語の意味を聞き、かなりの時間をかけて書き上げた。
またTOEICと国家公務員試験は給料が手渡しであったが、国税専門官採用試験では銀行振り込みであり、ゆうちょが使えないこともあってかなり苦労した。
もちろん書いた書類はかなり厳格で、どこのお役所に出しても通用するようなものであった。
「税理士を雇うと、こんな作業しなくても良いのよ」と国税庁の職員が言ったのを覚えている。
国家公務員試験では私は予備のような役に回され、試験中はずっと待機やトラブル処理、終わったら回収や後片付けをする事になった。
試験開始から一時間ぐらいが経った頃、一人の男性が急病で連れられてきた。かなり汗をかいていて、休憩室に倒れ込むように横になると、うわごとのように「水を下さい」と言ってきた。
私も必死に看病したが、結局その男性は試験を途中で諦めた。
試験官が「今日のために一生懸命頑張ってただろうに……また来年だね」とつぶやいたのが耳に残っている。