私が初めて親元を離れ、住み込みで3週間ペンションのスタッフとしてアルバイトをしたのは、16歳の時だった。
初めての場所、仕事に少々の不安はあったが、
友人の知人のペンションだったし、友人も一緒だったので、半分旅行気分だった。
しかし、ペンションに到着するなり、慌ただしい1日が始まった。
仕事の内容は、清掃、ベッドメーキング、接客、調理補助、皿洗い・・・何でもやらなければならなかった。
とにかく初めてづくしで、何をするのも自信がなくて、
1日で帰りたくなったが、そういう訳にもいかず、
とにかく頑張るしかなかった。
失敗もあったが、周りの人は、みんな優しくカバーしてくれた。
おかみさんは、
「笑顔がとても素敵なんだから、笑顔、笑顔。」
と励ましてくれた。
涙した日もあったが、1日1日と過ぎていくうちに少しづつ仕事に慣れてきた。
お客様から「ありがとう。」と声をかけられ、
その言葉がどれだけ嬉しかったか、今でも覚えている。
朝から晩まで働いて日給5000円。
こんな半人前の私には、もったいないくらいの日給だったかもしれない。
この短期間のアルバイトの中で、自分への自信がつき、何でも挑戦したいと思った。
親への感謝、チームワークの大切さ、人のあたたかさなど・・・私は、たくさんの心の財産をいただいた。